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「歩くと股関節が痛い…」と感じても、人によって痛みの場所や出方は異なります。実は変形性股関節症による歩行時の痛みには、大きく4つのパターンがあり、それぞれ原因も対処法も違います。今回は、そけい部・大転子・臀部(お尻)・太ももの付け根に分けて、原因と改善のポイントをご紹介します。
目次
その痛み、場所ごとに原因を理解し、適切な対策を行うことが改善への第一歩です。
当院に通われている60代女性の方は、「歩くたびにそけい部が痛い」とお悩みでした。病院では「筋力不足」と言われ筋トレに励んだものの改善せず、来院されました。
当院ではまず、症状や体のクセをよく観察したうえで、股関節周囲の炎症を抑えつつ関節包や靱帯の過緊張を調整する運動に取り組んでもらいました。
すると、個別の運動プログラムを熱心に実践したかいもあり、みごと1ヵ月ほどで歩行時の痛みが大きく軽減。「痛みの原因は筋力不足だけではない」と理解し、自分に合った運動療法を行うことが痛み改善のカギになります。
歩行時の股関節痛は、以下の4パターンに分類できます。「原因と対策」を順に見ていきましょう。
3種類の原因が考えられます。
その1
原因:筋肉に問題があるケースです。腸腰筋と大腿四頭筋のコンビネーション不良。
対策:腸腰筋と大腿四頭筋の協調を高める運動が有効です。
その2
原因:仙腸関節に問題があるケースです。サッカーなど足を酷使するスポーツ選手に多く見られます。
対策:左右でゆがんでいるほうの仙腸関節を運動療法で調整します。
その3
原因:腰椎の3番・4番・5番に問題があるケースです。
対策:腹筋、腹圧、臀筋、背筋の強化に加え、脊椎を調整する運動を行います。
原因:靭帯の緩みや、股関節周囲の深層筋群の筋力低下が起こっています。股関節で体重を支えにくくなり痛みが出やすい状態です。
対策:股関節周囲の靭帯と、太ももの筋肉を強化し、骨盤の安定化を図ります。
原因:股関節をかばうことで二次的に痛みが出るケースです。腰椎の3番、4番、5番に起因するもので、腰椎の前すべり症に多く、脊柱管狭窄症に併発することもあります。
対策:腹筋、腹圧、臀筋、背筋と太ももを強化。さらに骨盤と股関節の協調性を整えます。
原因:変形性股関節症の進行により、靭帯や関節包の異常に緊張して痛みが出るケースです。場合によっては手術が必要なことも。
対策:全身の筋肉の緊張を和らげる運動を行い、股関節の可動域の維持と調整を図ります。
痛みが強いときは無理に動かさず、まずは冷湿布や、塗布タイプの消炎鎮痛剤などで炎症を落ち着けることが大切です。そのうえで股関節に負担をかけない運動から始めると効果的です。
変形の進行度をはじめ、ケースごとに異なります。手術が必要なケースもありますが、関節包や靭帯の調整・筋力のバランスを整えることで症状が改善する方も多くいらっしゃいます。
変形性股関節症による歩行時の痛みは、そけい部・大転子・臀部・太ももの付け根の4つに分けて考えることができます。そして、それぞれ原因に合わせた運動療法を取り入れることで、症状の改善につながるのです。
「歩いていると股関節が痛くてたまらない」「筋トレしているのによくならない」という方こそ、一度ご自身の痛みの種類を見極めることが大事ではないでしょうか。
ぜひ、自分に合った対策を取り入れてみてください。