【膝の痛みの部位と改善のための体操法】

膝の痛みはどうして起こるのか?
日常生活におけるケガや事故によるものや、仕事、趣味・スポーツ等によって慢性的な偏った使い方によって起こるものがあります。
膝関節は大まかに考えると、そもそも曲げ伸ばししかできない関節です。そこに対して、捻りや膝を支点にした動きをすると損傷しやすい関節となります。

≪膝の部位別痛みの対処法≫
代表的な膝関節の原因と自分でできる改善法
膝の内側や外側に痛みがある場合は
膝の裏に痛みがある場合は

【皿(膝蓋骨)の前面の上下に痛みがある場合】
皿の上:大腿四頭筋腱
皿の周囲:変形性膝蓋大腿関節症
皿の下:膝蓋下靱帯

●原因
大腿四頭筋の過緊張によるもの
膝蓋骨の動きが悪い方は軟骨が摩耗している
O脚や下腿の骨の内捻

●改善体操
四頭筋伸ばし
半月板調整
O脚調整法

【膝の内側の痛み・外側の痛みがある場合】
内外の内側側副靱帯
内外の半月板
腰椎4番の神経
外転筋及び内転筋の痛み

●原因
腰の神経及び足の内旋外旋による使い方
股関節の痛みによるもの
内側への慢性的な圧迫や外側への急激な力

●改善体操
かかとの突き出し
足首の8の字ゆらし
股関節の8の字ゆらし

【膝の後ろ及び内部の痛みがある場合
膝カ筋
脂肪腫
前十字靭帯の緩み
軟骨の減り
水腫
半月板

●原因
変形性膝関節症第一期
急激な止まったり方向転換によるもの
膝関節内部の炎症、その他

●改善体操
かかとの突き出し(前十字靭帯用)
水腫を除去するマッサージ法

【良い医師・治療家の選び方】
①治療法としては関節に負荷のかからない運動、即ち体重をかけない、支点にしない、捻りを加えない、衝撃を与えない運動及び体  操を指導をして下さる医師及び治療家
②自宅でできる体操及び日常生活における注意点を指導していただける医師及び治療家
③質問を嫌がらない医師及び治療家
④日本の学会はもちろんのこと、世界の学会で認められた運動法を指導していただける方
⑤治療計画を共に作って下さる医師及び治療家
⑥より高度・専門な治療ができる医療機関及び治療所を紹介して下さる医師及び治療家

【ひざの正しい筋トレの方法】
考え方
①骨盤の歪みや脚長差の調整、更に関節可動域を十分に確保する運動を行ってから筋トレをしてください。そうしなければ改善効果がのぞみにくいのは勿論のこと、更なる痛みが発生することになります。
②体重のコントロールを行うことにより、膝関節への負担が大きく軽減します。
 運動においては体重をかけないトレーニングが必須条件となります。スクワットのような自重をかけて関節に負担をかけるようなトレーニングはやめて下さい。
 ウォーキングによる筋力強化はあまりおすすめしません。
行う場合は準備体操・ルートの選び方・クールダウンを考えて行って下さい。
③プールは浮力があるので、関節に優しいと思われがちですが、膝を高く上げてのプール内での歩行や後ろ歩きは逆に膝に負担がかかりますので、やめてください。

膝関節に負担をかけず、鍛える方法で行って下さい。ご相談いただければ負担をかけずに鍛える方法をご紹介します。

【ひざの正しいストレッチの方法】
ひざ痛がある場合、ひざ関節が硬い場合が多々あります。可動域が狭い状況でストレッチを行っても効果は少ないと考えます。
関節可動域を十分に確保したうえでのストレッチならば効果は大きいと思いますが、可動域が狭い場合は骨盤の歪みや足の長さを調整したのち、8の字ゆらしを行って関節の可動域を確保し行うと効果的です。

【ひざ痛の正しいマッサージの方法】
膝関節には筋肉がありません(膝窩筋のみ)ので、強い刺激は与えないでください。また温冷療法にしても筋肉がない状態で行うと過剰な刺激になりやすいので注意してください。マッサージにおきましても軽い刺激で太ももの付け根に向かい行っていただくことが重要です。特に膝裏のマッサージは極々軽く優しく行うことがポイントです。

【よくある質問】
Q.簡単な膝の解剖は
A.⚫︎身体を支持する大腿骨と脛骨
 ⚫︎膝の動きをスムーズに行い、下肢へ力の伝達を行う膝蓋骨
 ⚫︎膝へのショックの吸収や安定、さらに力の分散を担う半月板
 ⚫︎関節の安定、固定や動きを制御する靱帯・関節包
 ⚫︎関節の栄養を担当する関節包
 ⚫︎脳からの指令を伝える筋肉
 などで構成されています。

Q.痛みの原因としては
A.●軟骨のすり減り
 ●関節周囲軟部組織(腱、靱帯、関節包、筋肉、支帯など)の損傷及び過緊張
 ●半月板の炎症及び損傷
 ●変形やアライメントの異常によるもの
 ●上下左右の関節に異常がある場合、代償作用としての痛み
 などが考えられます。

Q.膝の痛みの発生原因として
≪加齢≫
A.加齢は病気という方もいますが、全員が加齢により機能低下を感じるわけではありません。加齢を特別な要因として考えなくてもよいと思います。


≪筋力低下≫
A.一般的な学説としては、我々が通常持っている筋力の15%から30%の筋力があれば、日常生活をおくるに問題がないといわれていますので、ことさら筋力低下にとらわれる必要はありません。それよりも関節力の低下に注意してください。
関節力とは、正常な関節可動域を保つことにより、現在持っている筋力を活性化できる力のこと。


≪体重増加≫
A.膝痛を自分で改善できる最良の方法は体重のコントロールすなわち減量を試みることです。例えば体重を1㎏減らすと膝関節には5㎏~15㎏の負荷を減らすことができ、逆に1㎏増やすとその分の負荷が膝にかかるということになるということを知って下さい。


≪姿勢の歪み≫
A.骨盤の歪みや足の長さの違いは膝関節に偏った体重負荷を与え、関節を構成する組織の損傷をもたらしますので、かならず調整することをおすすめします。


≪炎症≫
A.膝痛における炎症は急激な外からの力(事故・ケガ)や、慢性的な内からの力(日常生活における偏った使い方や仕事・趣味・スポーツなど)により起こります。是非、ケア体操によりご自分の偏った使い方を調整してください。

Q.膝の腫れや腫脹はどうして起こるの?
A.①水が溜まっていると言われた場合
水腫の場合は水を抜くなという治療家がいらっしゃいますが、私は必ず一度は水を抜いて成分を調べてくださいとお話します。成分によっては温冷、マッサージ、指圧、鍼灸では全く効果がない場合がありますので、必ず一度は調べてもらうことにしています。1.水腫の色が紫や黒でしたら、原因は感染症など
2.水腫の色がピンクおよび赤色でしたら、原因は脱臼などで血管が切れた場合
3.水腫の色が黄色および無色の場合は、半月板損傷や靱帯損傷など

上記の原因が考えられますので医師の診断が必要です。

A.②炎症を起こしている場合
特に大腿四頭筋の炎症が皿の上の腫れをもたらします

A.③膝裏が腫れている場合
脂肪腫の場合が多いと思われます。

Q. 日常生活における膝関節の働きは

A.≪股関節と協力し≫
1.立ち座り(上下運動)
2.ふりむき、方向転換(回旋・回転)
3.上下への飛び、前後への跳び(空間移動)
4.歩く、走る(水平移動)
が考えられます。この際、膝の関節力が低下すると、思い通りの動きがしにくくなりますので、関節力をアップしてください。

Q.膝痛予防のポイントは
A.膝関節の主な動きや働きは、膝の曲げ伸ばしと僅かな内旋外旋となります。そこで予防のポイントは
①急な曲げ伸ばしをしない
②長時間同じ姿勢をとらない
③体重を増やさないように気を付ける
④膝に捻りや衝撃を加えない
⑤膝に休息を与える
⑥膝のチェックを怠らない
⑦膝のケア体操を行う

Q.体全体から見た膝のボディチェック
A.①左右の内くるぶしの位置は同じか
 ②左右の皿の動きはスムーズか
 ③皿の高さは左右揃っているか
 ④足を伸ばした際左右の膝裏は床につくか
 ⑤しゃがみや正座はできるか
 ⑥あぐらはかけるか
 ⑦左右の腸骨陵の高さは同じか   など・・・

Q.ボディチェックの結果を基に、膝痛を改善するケア体操は?
①左右の内くるぶしの位置は同じか
→骨盤の歪みと脚調査の調整
②左右の皿の動きはスムーズか
→半月板調整法・足関節・膝関節・股関節の8の字ゆらし
③皿の高さは左右揃っているか
→かかとの突き出しや大腿四頭筋の緊張をとる体操
④足を伸ばした際左右の膝裏は床につくか
→かかとの突き出しや太もも後面の緊張をとる体操
⑤しゃがみや正座はできるか
⑥あぐらはかけるか
→関節力強化
⑦左右の腸骨陵の高さは同じか 
→骨盤の歪みと脚調査の調整
⑧体の全体からみた膝関節の調整
→例えば腰骨の調整や足首及び猫背・巻き肩の調整

Q.膝関節痛の再発を防ぐには
A.ボディチェックの各項目が正常な状態になった時に再発の防止ができると考えます痛みや症状が改善したとしても、ボデイチェックの状態が異常なままであれば再発のリスクが高いようです。ぜひボディチェックを習慣化して下さい。

その他に
①膝関節に急激な刺激を加えない
②偏った使い方を避ける
③膝関節になるべく捻りを加えない
④膝関節を支点にするような動きや運動はなるべく避ける(スクワットなど)